宮川花子さん(画像=事務所提供)
宮川花子さん(画像=事務所提供)

 自分が面白いと思えるのは多少なりとも漫才をかじってきたからだし、その漫才をやってきた蓄積を使って「若い人の笑いが分からん」という方にも面白いと思ってもらえるものを発信する。それは今の自分がやるべきことやろうなとも思っています。

 でもね、車いすでいる以上、漫才はできないと思っています。車いすでは舞台に上がりません。笑いというのは本当に繊細なもので、いつもと違うもの、不慣れなものがあると、そこに目がいって笑えなくなる。私が車いすで出てきた時点でお客さんの目はそこにいくし、気になってネタに集中できない。それでは漫才は成立しません。

 芸人が同情されても仕方ないし、そうなったらもう笑いを取れない。もし漫才をやるんやったらお客さんが気にならんくらい体が戻っていないとダメやと思います。

 でもね、神様はよくこの口だけは残してくれはったと思います。ホンマに。この口があったら、しゃべることはできる。しゃべれたら、何かを伝えることはできる。この力があるんやったら、そこを使わなアカン。そう思ってもいるんです。

 今も体は痛いんですけど、それは病気の痛みではなく、筋肉痛の痛みなんです。一生懸命にリハビリをしていると、常にどこかが筋肉痛になっている。これは前向きな痛みやと思っています。なんとか今の私にできることを見つけて、芸人として発信したい。そう思います。

 それとね、つくづく、大助君はまじめな人やと思いますわ。45年ほど前に「この人はホンマにまじめな人やなぁ」と思って結婚したんですけど、今はもっと思っています。

 普通「こんなことまでやってもらったら悪いな」とか「これはしんどいやろうな」と思うこともあったりしますけど、それ以上にやってくれてます。

 私ができることは朝にベッド横の窓を開けるくらいのことなんですけど、そこから見える庭、ものすごくキレイにしてくれています。季節のお花を植えて、本格的な庭園みたいになってます。毎日ホームセンターに行って、いろいろなものを買ってきて、窓からの景色をどんどんキレイにしていってくれています。

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夫がいるとこでは「しんどい」と言わない