日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「ワクチン3回目接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
【データ】発熱、頭痛だけじゃない!ワクチン接種後に確認された副反応と割合はこちら
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アメリカやフランス、イギリスやインドなどでは1カ月前後でピークアウトを認めている「オミクロン株」による新型ウイルス感染症。日本でも2月中旬ごろから、新規感染者数は右肩下がりにあるようです。Our World in Data のデータによると、2月19日時点の新型コロナウイルス感染症の人口100万人あたりの新規感染数は4,575件(イギリスは4,634件、アメリカは2,204件)であり、外来の現場でも、1月下旬から2月初めと比較すると、発熱や微熱、咳、喉の痛みなどを訴えて受診される方はずいぶん減ってきています。
とはいえ、上記のような症状の人にPCR検査を行うと、依然として約半数でコロナ陽性を認めます。新型コロナウイルス感染症を疑ってPCR検査を行っているため、コロナ陽性が出る割合が高くなって当然ではありますが、まだまだ陽性率が高いこともあり、私たちも感染対策を続けるとともに、職場から自宅へと直帰する毎日です。
1月中旬ごろからは、外来診療に加えてワクチン接種の業務にも従事するようになりました。「なかなか予約が取れなくて……」「種類はなんでもいいから、とにかく早く3回目を接種したかった」「副反応は心配だけれど、オミクロンにかかる方が怖いから……」「子どもたちがファイザーを接種できるようにモデルナを接種しにきた」「交差接種の方がいいと聞いたから……」問診という限られた時間の中で、いろんな声を聞いています。
外来でも、通院されているご高齢の方を中心に「新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種(ブースター接種)をしてきました」と聞くことが増えてきました。「オミクロンが流行っているから、1日でも早く接種したかった。接種できてよかった」と安堵の声が多い印象です。一方で「まだ接種券が届いていません」といった声も多く、「早くブースター接種ができていれば、オミクロンにかからなくて済んだのに……」という尤もな意見も聞かれます。