ウィシュマ・サンダマリさん
ウィシュマ・サンダマリさん
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 スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが、名古屋出入国在留管理局で33歳の若さで亡くなってから間もなく1年。この間、何がわかり、何が隠されているのか。遺族代理人の指宿昭一弁護士と有田芳生参院議員が“事件の闇”に迫る。

【ウィシュマさんが亡くなるまでの経緯はこちら】

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──ウィシュマさんが収容中に撮影されていた監視カメラの映像が、昨年10月に裁判所の判断で開示され、遺族と弁護団が閲覧しました。国会でも昨年末に一部の国会議員に閲覧が許され、有田さんも映像を見ました。何がわかりましたか。

有田:亡くなる10日前の2月24日には、ウィシュマさんは「口から血が、鼻から血が」と言っています。栄養補給のための点滴も求めていたのに、職員はウィシュマさんをベッドの壁に寄りかからせて「4時間ぐらい我慢して」と言うだけ。介護が必要な人に対する虐待行為で、名古屋入管の一連の対応は「緩慢な殺人」です。

指宿:同じ日には、ウィシュマさんは「私死ぬ」とも言っています。それに対して入管の職員は「あなたが死んだら困るもん。死なないで」と。

 当時、名古屋入管にはウィシュマさんの体調を心配して、支援団体の方が何度も面会し、入管に対して点滴と治療を行うことを申し入れていました。だから、名古屋入管の幹部もウィシュマさんの体調悪化は知っていた。それでも、必要な対応をしなかったんです。

有田:名古屋入管に残っている映像は295時間。そのうち、衆院と参院の法務委員会理事懇談会で公開された映像は6時間28分です。日付は昨年2月22日からウィシュマさんが亡くなった3月6日まででした。

指宿:弁護団が閲覧できた映像は約4時間半です。

有田:開示された映像と昨年8月に出入国在留管理庁が公開した最終報告書の内容には矛盾点が多い。国会では今でも野党が問題点を追及し、集中審議も求めています。ウィシュマさんが33歳で亡くなったことの真相解明は、まだ終わっていません。

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