女優、タレント、司会者と多彩な顔を持つ久本雅美さん(63)。自身が所属するWAHAHA本舗の舞台などこれまで40年以上舞台に立ち続けてきましたが、新型コロナ禍でかみしめた舞台への思い。そして、ライフワークとして考えること。さらに、理想の最期についても胸の内を吐露しました。
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これまで40年以上舞台に立ってきて、1年間で1回も舞台に立たなかったというのは今回のコロナ禍が初めてでした。
何本も仕事が飛びましたし、立ちたくても立てない。その中でいかに劇場に足を運んでくださるお客さまがいかにありがたいか。そして、面と向かって直接お客さまと向き合える状況がいかにありがたいか。それを痛感しました。
別にね、エエことを言おうとかそんなんじゃないんですよ(笑)。本当に、本当に、それを感じたんです。
そこを経て、去年松竹新喜劇の公演に出していただきました。幕が開いてお客さまがいらっしゃる。これまで何回見てきたか分からない景色です。でも、それを見た瞬間に涙が出てきました。当たり前は当たり前じゃない。ホンマに思いました。
なんなんでしょうね、テレビ大好きで、メディアの世界でも頑張っていきたいと思っているんですけど、コロナ禍で改めて舞台の醍醐味(だいごみ)を感じて、さらに舞台が好きになりました。これだけやってきて、さらに好きになるなんて自分でも思ってもいませんでした。でも、好きになってるんですよね。明確に。
リアルな話ですけど、テレビの世界も時代が変わってきました。若い子がたくさん出てきて、私たちみたいな中途半端な人間はだんだんテレビの世界でもお呼びがかかりにくくなっている。それも現実としてあります。
「だからテレビより舞台がより大事」みたいなことではなく、純粋に舞台の面白さを痛感している感じです。見る側でも、やる側でも。
こんだけやってきてまだ思うかという話ですけど、お客さまの目の前で実際に人がいて、対面でやっていることの面白さ。直接響き合う感覚。他のどのお仕事も大切なんですけど、この感覚だけは舞台じゃないと得られないんですよね。