同じ欧州では、フィンランド代表の英雄、ヤリ・リトマネンも忘れられないプレイヤーだ。ウィンタースポーツが盛んな“氷の国”で稀有な才能を持って生まれ、19歳で国内の年間最優秀選手に選ばれると1992-93シーズンからオランダのアヤックスでプレー。背番号10を背負って攻撃の中心として活躍し、優れたテクニックと高次元のパス、ドリブル、そして傑出した得点能力で、在籍7シーズンで通算159試合に出場して91得点をマーク。1995-96年にはチャンピオンズリーグの得点王に輝き、大会で準優勝(決勝はユベントス相手に敗退)となったチームの原動力となった。その後、バルセロナやリバプールでもプレー。フィンランド代表としては137試合32得点を記録したが、W杯、EUROともに予選敗退が続き、本大会とは無縁だった。

 現役選手では今冬、アーセナルからバルセロナへ移籍したガボン代表の快足ストライカー、ピエール・エメリク・オーバメヤンだろう。生まれはフランス、母はスペイン人で、ACミランのユースチームで育ったことからイタリア代表でのプレーも可能だったが、父もプレーしたガボン代表を選択。2009年のフル代表デビューからここまで国際Aマッチ72試合30得点でチームを牽引。W杯出場は果たせていないが、自国開催となったアフリカネイションズカップ2012ではグループリーグ3試合連続ゴールを決めて決勝トーナメント進出に貢献。クラブでは、サンテティエンヌで頭角を現した後、ドルトムント、アーセナルで、ともにリーグ得点王に輝いている。

 その他、アーセナルで実力を発揮したベラルーシ出身の攻撃的MF、アレクサンドル・フレブ、ACミランのDFラインで長く活躍したジョージア出身のカハ・カラーゼも、サッカー弱小国で生まれながらも欧州トップリーグで活躍した印象深いプレイヤーだ。ともにW杯やEUROなど母国の代表として大舞台には立っていないが、海外サッカーファンなら誰もが知っている存在である。

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