運用は60代からでも遅くない
運用は60代からでも遅くない
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 モノの値段が上がるインフレの流れが鮮明になってきた。銀行預金に頼っていると、利息がつかないから物価上昇に負けてお金が「目減り」してしまう。それを防ぐにはお金に働いてもらう資産運用が必要になるが、投資経験のない人は何をやっていいかわからないだろう。

【図表】尾藤さんが60代に勧める配分割合、「黄金のポートフォリオ」はこちら

「60代からでも安心してできる運用方法がありますよ」

 こう話すのは、最難度の米CFA証券アナリスト資格も持つ資産運用アドバイザーの尾藤峰男さんだ。米株を中心に、もう25年も世界市場の動きをウオッチしている。

「もっともやってはいけないのが短期投資です。アメリカのネット株が好調だからといって、いきなり『GAFAM』などの人気株を買ったりしてはいけません。歳はとっていても、長期投資のスタンスをしっかり守ることが大切です」

 尾藤さんの「長期」は徹底している。時間軸は「75歳」や「80歳」など年齢を特定するのではなく、「亡くなるまでの時間軸」で投資にあたること、投資対象によっては一時的に値下がりすることはあるが、売らずにずっと持ち続けることが鉄則だ。

「具体的には、広く世界に分散投資します。株式、債券、不動産投資信託(リート)の3つを投資対象にし、国内、海外にわけて配分するのです。広く分散しておけば、下がるものがあっても、さほど下がらないものや、逆に上がるものがあるというふうにリスクを分散できます。また、外国に投資しておけば、今のような円安になっても安心です」(尾藤さん)

 購入するのは、それ自体幅広い銘柄を投資対象にしている「投資信託」である。

「長期投資では市場全体の値動きに連動して価格が動く『インデックス型』の投資信託がいいでしょう。長期投資は運用コストを低くしておくことがとても重要ですから、投資信託でいえば毎年、残高の一定割合を引かれる『信託報酬』が安いものを選ぶようにしてください」(同)

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首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

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