AERA3月7日号より
AERA3月7日号より

関節痛と寒気で眠れず

 保健所からの健康観察の電話でも喉の痛みを訴えたが、「3~5日ほどで治ります」。しかし水を飲むのも一苦労するほどの喉の痛みは治らず、薄らいできたのが発症8日目。その間、鎮痛剤を手放せなかった。

「何もしていられない状態。これがいつまで続くのか、と不安になりました」

 さらに頭を悩ませたのは、喘息の薬をどうするか。コロナ禍でこの2年、呼吸器内科を受診できておらず、薬がない。保健所からは「オンライン受診ができる医療機関を探し、処方箋を出してもらい、薬を送ってもらってください」と言われたが、体調が悪い中そこまでできなかった。療養期間が明ける12日になっても咳がひどくて外出できず、病院で喘息の薬をもらえたのは17日。

「咳だけでは療養期間は延長にならない。薬をもらえるまで、仕事に復帰できませんでした」

 今でも咳は落ち着いておらず、喘息の治療は継続中だ。

 症状格差は、症状の出る期間の差もある。

 長男9歳→40代夫婦→次男7歳の順で陽性が判明したのは、長野県在住の4人家族。子どもたち2人は2日ほど高熱が出た後回復したが、ワクチン2回接種済みの大人2人は症状が1週間ほど続いた。

「ひたすら関節痛と寒気で眠れず、いままでかかったことのないものにかかっているという感覚でした」(夫)

 夫婦とも体調が優れない中、リモートワーク、家事、子どもの世話に追われた。医療機関や保健所の人に対しては感謝の念しかないが、忙しい中では、保健所から毎日かかってくる健康観察の電話さえストレスだったという。

後遺症のリスクが増す

 これらの症状格差はなぜ起こるのか。

 東京都保健医療公社荏原病院耳鼻咽喉科の木村百合香医長によれば、まず軽症といっても症状は人それぞれで、「軽症=つらくない」ではないという。コロナの重症度は呼吸困難などの呼吸器症状と血液中の酸素飽和度を指標にしており、全身症状ではかなり重症でも、コロナの重症度分類では重症に該当しない人が少なくない。さらに、患者が増えれば重症患者も当然増え、高齢者では2回目のワクチン接種から期間がたっている場合、重症化リスクが増すという。

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