新しい働き方として普及しつつあるテレワーク。出勤しないことによるメリットは多いが、職場でのコミュニケーションが減り孤独を抱える人も少なくない。中でも20代前半の若者の孤独感が強いことが調査でわかった。AERA 2022年3月7日号から。
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浮かび上がってきたのは「テレワーク孤独」の現実だった。
企業の働き方改革の支援を行う株式会社クロスリバーでは、直近の1年間で全国805社延べ約17万3千人に「働きがい」についてのアンケートを実施した。その結果、大卒入社1年目から3年目にあたる23、24歳が「孤独」をとくに強く感じている傾向がわかったという。同社社長の越川慎司さんはこう話す。
「理由は物理的な閉塞感です。彼らは入社時の選定から内定式、入社式、入社トレーニングに至るまで、オンラインで行われている可能性が高い。慣れない仕事も最初からテレワーク。まだ気軽に上司や先輩に相談できないところ、リモートだとなおさら難しい。また地方から出てきてワンルームマンションに一人暮らしの人も多いので、他の年代に比べて圧倒的に人との物理的接触が少ないんです」
■若者の孤独感は高い
さらに結果をAIで解析したところ、20代前半の人に最も使われる言葉が二つあったという。
「『大切』と『承認』です。本来プラスの意味の言葉ですが、解析するとそのあとに否定語が必ず続く。『大切にされていない』『私は認められていない』と。対面での時間を共有できず、どうしても上司や先輩からの『話しかけ』が減る状況ですので、疎外感を持ち、孤独を募らせていってしまうんです」
別のこんな調査もある。東京都健康長寿医療センター研究所では、15~79歳の男女約3万人に2020年8~9月、21年9~10月の2回、「孤独感の高さ」と「社会的孤立状況にあるか」をインターネットで調査した。「孤独感」については、「人との付き合いがないと感じることがあるか」など3項目、「社会的孤立」については別居している家族や親戚、友人らとどれくらいの頻度で接触しているかを聞いて判断したもの。