
林:わー、ロマンチックです。
中園:奥さん、素敵ですよ。以前お会いした時に、奥さんといらしてたのに、私、「愛人ですか? かわいいですね」って言っちゃったの(笑)。
林:ちょっと、あなた(笑)。さっき、大阪の人はウケてもそれ以上悪ノリしないとおっしゃいましたけど、「家族に乾杯」なんか見てても、一般の人でしつこい人、ときどきいらっしゃるでしょう。
鶴瓶:そういう人がおると、「テレビ見てる人は気分悪いやろな」と思うから、その人と仲ようなって、その人を傷つけずにしかろうかなと思ってますね。言うたほうが、視聴者がスッキリして、その人自身が嫌われんで済むと思ってるんですよ。イヤやなと思うても、しばらくしたらええ人になったりしますしね。
林:その人を傷つけないように言うという、そのたしなめ方が鶴瓶さんはうまいなと思います。
鶴瓶:おばちゃんに「サインして」って言われたんですよ、西宮北口の駅で。それが夕方5時ぐらいで、学生が来るやないですか。「すいません。学生がぎょうさん来ると思うんで」言うたら、「来てへんやんか。サインしてえな」言うんです。しゃあないからおばちゃんのサインペンでサインしてたら、学生がぎょうさん歩いてきたんですよ。僕を見つけて「サインしてください」言うから、ずっとサインして……。
林:えっ、やさしい。
鶴瓶:いや、わざとですよ。ずーっとおばちゃんのペン持ってサインしてたんやから(笑)。全部はけるまでサインしたら、おばちゃんが「ごめんね。ほんまやったんやな」言うて。だから、わかるまでやらんとわかってくれない。
林:お人柄が素晴らしいですよ。だから好感度がいつも上位なんですね。
鶴瓶:(カメラに)映らんときにどうするかいうのが、いちばんの好感度やと思うんですよ。
林:お話を聞くに、ほんとに「家族に乾杯」のとおりの方だと思いました。やさしくて。
中園:でも、目が笑ってない(笑)。
鶴瓶:目って、どないして笑うの?
林:うーん……(しげしげと見て)。たしかに目、笑ってないかも(笑)。
鶴瓶:なんのこっちゃ(笑)。
(構成/本誌・直木詩帆 編集協力:一木俊雄)
笑福亭鶴瓶(しょうふくてい・つるべ)/1951年、大阪府生まれ。72年、大学を中退し、六代目笑福亭松鶴に入門。関西で活動後、東京に進出。数多くのバラエティー番組で活躍するほか、俳優としても人気を博す。レギュラー番組に「ザ!世界仰天ニュース」「鶴瓶の家族に乾杯」など、過去の出演作に映画「ディア・ドクター」「閉鎖病棟」など。第43回日本アカデミー賞優秀主演男優賞など受賞多数。出演ドラマ「しずかちゃんとパパ」(NHK BSプレミアム・BS4K)は3月13日から放送予定。
※週刊朝日 2022年3月11日号より抜粋