
歌舞伎のみならず、舞台、ドラマに音楽と、活躍の場を広げている尾上松也さん。3月4日に開幕する舞台「怖い絵」では主演を務める。インタビューでは貪欲にチャレンジを続ける理由を語った。AERA 2022年3月7日号から。
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――3月、鈴木おさむ演出の主演舞台「怖い絵」に挑む。名画に隠された恐怖の背景を解説した同名タイトルのベストセラー(中野京子著)をベースに、鈴木が脚本も執筆、舞台化した。
尾上:おさむさんご自身がお作りになる作品に出演するのは今回が初めてです。以前から「一緒に何かやりましょう」とお話ししていただけに、ついに実現できてとてもうれしいです。
僕が演じる主人公は投資家で、怖い絵を集めるのが好きな絵画コレクターで、大金持ち。非常に変わったキャラクターです。
出演が決まって最初に見た絵が「切り裂きジャックの寝室」というまさに怖い絵で、衝撃的でした。ウォルター・リチャード・シッカートという画家が描いたもので、物語の手掛かりとなる絵画となっています。いわれも背景も面白くてとても興味をそそられました。
――比嘉愛未、寺脇康文、佐藤寛太、崎山つばさの4人とは初共演となる。
尾上:僕は出演するほとんどの舞台やドラマで、初共演の方ばかり。舞台の共演者は、長い間一緒にお稽古をして本番を乗り越える同志です。現場の一体感や雰囲気はどういう形であっても出てしまうので、自分が主演の時はシリアスな作品でもコメディーでも、みんなが楽しいと思えることが大切だと思っています。ですので、出演者だけでなく、スタッフも楽しんでいただけるような空気づくりを心がけています。もともと僕はコミュニケーション力が高い方ではないのですが、舞台の時は積極的に話しかけるようにしています。
■感覚的に歌舞伎と同じ
――「少ない人数での芝居がすごく好き」だと言う。
尾上:少人数で作る芝居は、その中で世界観を作っていかなくてはならないので、より役者の技量が問われると思います。経験するうちに、とてもやりがいを感じるようになりました。自分のイメージや想像力をふくらませながら演じなくてはならないのですが、それがすごく楽しい。今回5人でのチャレンジですがとても楽しみです。