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 プロ野球審判員だった佐々木昌信氏(52歳)は、実家の寺院を継ぐために、2020年を最後に引退。球審のマスクをはずし、袈裟(けさ)をまとうようになった。

【写真】平成で最もかっこいいバッティングフォームは?

 選手が選手を語ったり、野球評論家が選手を語ったりするにはどうしても忖度が出てくる。客観的な立場において「名選手の名選手たるゆえん」を一番間近で見られるのが審判員(球審、塁審)だ。通算2414試合、審判生活29年の佐々木氏の著書『プロ野球 元審判は知っている』(3月9日発売/ワニブックス)から厳選したエピソードを紹介する。

【1】 新庄剛志が「ユニフォームに香水」を流行らせた

 春季キャンプ中の2月15日、新庄剛志監督(日本ハム)が原辰徳監督(巨人)に香水をプレゼントした。ロッテの「イケメン5」と呼ばれる荻野貴司外野手、和田康士朗外野手、藤原恭大外野手、平沢大河内野手、佐藤都志也捕手が、香水の予約販売を球団公式オンラインストアで開始している。実は、この香水をプロ野球界に流行らせたのが、新庄剛志監督なのだ。

 スポーツには「汗臭さ」がつきものの世界です。そこで2004年、メジャー帰りの新庄剛志選手が香水をつけながらプレーすることを流行らせました。

「ユニフォームを洗濯に出すとき、汗臭かったらクリーニング店に失礼です。プロ野球選手だって、そこまで気を使わないといけないと思います」

 そう話す新庄選手は阪神時代も「Gパンがはけなくなるから筋トレはしたくない」など、オシャレに関しては一家言持っていました。

 日本ハムの選手みんなにそれが飛び火して、いまは12球団、いわゆる汗臭いということがグラウンド上ではほぼなくなり、球審に一番近いキャッチャーもすごくいい匂いをかもし出しています。新庄選手は甘い匂いだったし、柑橘系の選手もいたし……。

「この香水、何っていうブランド?」

「シャネルです」

「さすが高給取りだね」

 巨人の阿部慎之助選手は現役時代、お香の白檀の匂い。日本ハム時代の大谷翔平選手は「自分でブレンドをして作る」と言っていました。香水をブレンドするのが得意な人もいて、選手が好きな匂いに寄せてくれるらしいです。プロ野球界もだいぶ様変わりしました。

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