9日に投開票された韓国大統領選で、保守系最大野党・国民の力の尹錫悦前検事総長が大接戦の末に当選した。1987年の民主化以降の大統領選で最も僅差の勝利で、5年ぶりに保守政権への交代となる。
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開票中盤までは。革新系与党・共に民主党の李在明前京畿道知事が優勢だったが、開票率が50%を超えてから尹氏が逆転。その後も拮抗した争いが続き、開票率が90%を超えても当選者が確定しない大接戦が続く。最終的に韓国の中央選挙管理委員会が発表した得票率は尹氏が48.56%、李氏が47.83%の僅差で投票率は77.1%だった。報道によると、当選が確定した尹氏は党本部で「競争は終わり、われわれ皆が一つにならなければならない。議会を尊重し野党と協調しながら国民に尽くす」と誓ったという。
「不動産価格の高騰などで文在寅大統領に対する不信感が高まる中、文大統領に対する批判票が尹氏に集まる形となった。若い世代に人気がある中道系野党の安哲秀氏と尹氏が投票日直前に一本化できたのも大きい。安氏と共闘が実現できなかったら結果は変わっていたかもしれません」(通信部の国際部記者)
文在寅大統領就任以来、悪化の一途をたどる日韓関係についても注目が集まる。文在寅大統領夫妻が今年1月に各国大使らに贈った旧正月のギフトセットの箱に、韓国が領有権を主張する島根県の竹島(韓国名・独島)とみられる絵が描かれたプレゼントが入っていたことが判明。在韓国日本大使館はギフトセット受け取りを拒否して返送し、竹島の領有権に関する日本政府の立場を改めて伝えたことが報じられた。
李氏は日本に対して「強硬派」と評されたのに対し、尹氏は日本に対して歩み寄る姿勢が見られるなど対照的だ。尹氏は父親の起重氏がかつて日本の一橋大学に留学し、同大学の客員教授を務めて日本語に堪能なことも影響しているかもしれない。2月3日に首都・ソウルで行われた放送会社3社が共同主催の「大統領選候補討論会」では各候補に当選後の外国首脳との会談優先順位に関する質問が出た際、李氏が中国、米国のどちらを最優先にするか慎重な姿勢を示したのに対し、尹氏は米国のバイデン大統領に最初に会い、2番目は岸田文雄首相と会談したい意向を明言。「共に民主党の政権で親中・親北の『屈辱外交』を行った結果、韓米、韓日関係が崩れてしまったので、米国、日本との関係を正常に戻すことが優先事項であると考えている」と持論を述べたという。