ともに今季がプロ4年目となる広島・小園海斗(左)とロッテ・藤原恭大(写真提供・広島東洋カープ/千葉ロッテマリーンズ)
ともに今季がプロ4年目となる広島・小園海斗(左)とロッテ・藤原恭大(写真提供・広島東洋カープ/千葉ロッテマリーンズ)

 近年はあらゆる問題点が指摘されることが多い高校野球の世界だが、春、夏の甲子園に出場して高校からドラフト指名を受けるというのが日本の野球界におけるエリートコースとなっていることは間違いない。

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 甲子園には全12球団のスカウトが顔を揃え、多くの目でチェックされるというのも選手にとっては大きなプラスである。しかし甲子園のスターでもプロですんなり活躍できるケースは決して多くはない。そこで今回は過去5年間、2017年のドラフト以降にプロ入りした甲子園のスターの現在地を探ってみたいと思う。

 ここまで極めて順調にスター街道を歩んでいる選手と言えば奥川恭伸(星稜→ヤクルト)と宮城大弥(興南→オリックス)の2人になるだろう。奥川は2年春から4季連続で甲子園に出場。3年夏には3回戦の智弁和歌山戦で延長14回を投げて23奪三振と歴史に残るピッチングを見せ、チームを準優勝に導いている。プロ入り後も1年目は主に二軍暮らし(一軍では1度の先発登板のみ)となったが、2年目の昨年はローテーションの一角に定着。シーズン終盤はエースとも言える活躍を見せ、チームの日本一にも大きく貢献した。一方の宮城も3年夏こそ沖縄大会の決勝で敗れたものの、1年夏、2年夏と2度甲子園に出場。下級生とは思えない堂々としたピッチングを見せている。プロでも1年目から一軍で初勝利をあげると、昨年は開幕から連勝を続け13勝をマーク。見事パ・リーグの新人王にも輝いた。奥川、宮城ともに日本シリーズでも先発を任せられており、今年もローテーションの中心として期待が高い。

 野手の出世頭となっているのが小園海斗(報徳学園→広島)だ。甲子園には2年春、3年夏と2度出場し、7試合で4割を超える打率をマークするなど超高校級ショートとして注目を集めた。プロ入り後は1年目にいきなり一軍で40安打を放つと、3年目の昨年は初の規定打席に到達しリーグ8位となる打率.298と見事な成績を残している。若手のショートでは12球団の中でも総合的に見てナンバーワンと言える存在と言えそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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