「不動の4番」の鈴木が抜けた今年の広島は戦前の下馬評が高いわけではない。だが、戦力は決して他球団に見劣りしない。先発陣を見ると、昨オフにFA権を取得して動向が注目された大瀬良大地、九里亜蓮が残留し、森下暢仁、床田寛樹、玉村昇悟と先発陣がそろい、守護神は1年目の昨季新人で37セーブ、防御率0.86の栗林良吏が故障さえなければ稼働するだろう。打線も菊池涼介、西川龍馬に加えて昨季打率.315をマークした坂倉将吾、正遊撃手の座をつかんだ小園海斗、2ケタ本塁打を放った林晃汰、オープン戦で猛アピールしている大盛穂と楽しみな若手が多い。

「鈴木誠也の穴は1人の選手では埋まらない。4番も『つなぎの役割』にするなど得点を取るためにガラッと変えるのも一つの策だと思います。近年の広島は戦力差で負けたというより、野球に緻密さがなくなり粘り強さも消えてしまった。今年は混戦が予想されるので、佐々岡監督のベンチワークが大きなカギを握ると思います」

 鈴木誠也の後継者となる「4番の起用法」が、チームの命運を握りそうだ。(安西憲春)

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