「『グリーン・リカバリー』という考え方で、車から公共交通への転移を図っています」

 例えば、オーストリアでは昨年11月から1日3ユーロ(約380円)相当で国内ほぼすべての鉄道、トラム、バスが乗り放題の「年間パス」を始めた。運賃収入の目減りは国が補い、自動車や航空機から二酸化炭素の排出量が少ない鉄道へのシフトを促す狙いだという。

 宇都宮教授はこう話す。

「コロナ禍で地方に移住しようという人は増えていますが、公共交通の便がネックになっている。また脱炭素社会に向けた街づくりも叫ばれています。欧州のように魅力的な価格設定と一定水準のサービスを提供できれば、日本も鉄道が復権する可能性があります」

(編集部・野村昌二)

AERA 2022年3月21日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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