高木:そうなんだよな。僕がハワイアンを始めた学生時代、ダンスパーティーのバンドをやっていたのだけれど、タンゴもルンバもやらなきゃいけなかった。本来ハワイアンでやるジャンルじゃないんだけど、みんなに踊ってもらうためにやった。つまり、ウクレレはどんなジャンルでも弾けるんだよね。僕は兄貴がウクレレ奏者の灰田(晴彦・勝彦)兄弟の追っかけをやっていたの。それで、僕の15歳の誕生日にウクレレを買ってくれた。単純にもらったからやり始めたんだけど、いまだにへたくそだよ(笑)。ウクレレは奥が深すぎて、悔しさを感じることもある。

関口:初心者でも楽しめるし、上だけを目指さなきゃいけない楽器でもないのも魅力ですよね。どんどんサザンオールスターズが大きくなって、何かをやるたびに何百人ものスタッフが一緒に動かないと音を出せない状況になったとき、ウクレレと出合って、音楽がより身近なもので、弾くだけで個人を幸せにしてくれるものだと改めて気付きました。

■音楽は本当に面白い

 関口が作詞作曲した楽曲「パパの手」は、高木ブー父娘の関係を描いている。

関口:ブーさんは娘さんのことをずっとかわいいと思っているし、娘さんは結婚後もブーさんと一緒に住んでくれるお婿さんを探し、いま実際に皆さんで住んでいらっしゃる。その関係性がすごくいいなと思ったんです。

高木:妻が亡くなって、僕から娘に出した条件だったからね。

関口:子どもが幼い時は親子で手をつなぎますけど、ティーンエイジャーになるとなかなかつないでくれなくなる。「次に手をつないでくれるのはどういう時かな」と想像してみると、親のことを心配してつないでくれる時が訪れるんだろうなと。そのイメージをブーさん父娘にあてはめて書きました。でも、ブーさんは「メロディーが難しい」と(笑)。

高木:そうなんだよ(笑)。ただ歌うだけならできるんだけど、感情の入れ方が難しい。歌うたびに「ここはこういうのがいいのかな」と考えながらやっている。家で鼻歌で歌うと自分で「これでいいのかな」って決めてしまうからダメなんだ。ステージでお客さんひとりひとりの表情を見ながら、何回も歌っていくうちにできあがっていくんだよね。

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