「ひなげしの花」で1972年に衝撃的なデビューをしたアグネス・チャンが今年、節目の50周年を迎えた。歌手活動以外にも日本ユニセフ協会大使を務め、海外の大学に留学し、著書も数多い。八面六臂の活躍を続けられる秘密は何か?
* * *
アグネスの人生は「決断」の連続だった。来日しての歌手デビュー、アイドルとしての絶頂期に休業してカナダの大学に留学、結婚・出産、日本ユニセフ協会大使としてスーダンやソマリアなどの紛争地帯を訪問……。その原動力を問うと、アグネスは「二つある」と即答した。
「一つは好奇心。もう一つは、私がやらなかったらほかに誰がやる?という気持ちです。この二つが一緒になると、自分でも信じられない力が湧いてくる」
来日したときは、日本はどんな国なんだろうという好奇心があった。
「カナダに留学を決めたときは児童心理学を学びたいという気持ちと同時に、歌手をやらない自分ってどうなるんだろうという好奇心が強かったというのもありました」
2010年、ユニセフ大使として混乱が続くソマリアの危険地帯を視察したときも「迷いはなかった」と断言する。
「視察に同行したテレビ局のプロデューサーは私に、『どうしてそんな危険な場所に行くんだ』と言いましたが、記者さえも行かないような危険なところだからこそ、大使が行くしかない。大使が行けば新聞社も来て、記事にしてくれる。子供の声が世界に伝わる。ユニセフとアグネスが行くとなれば、記者たちも少しは安心して来てくれるでしょ」
好奇心と気概で活動の幅を広げたアグネスは、本の執筆にも積極的に取り組んでいる。今では日本及び香港で100冊を超える著書がある。その最新刊が『スタンフォード大学に3人の息子を入れた賢い頭としなやかな心が育つ0歳教育』だ。
「0歳教育」というと、教育ママ的な英才教育をイメージするかもしれない。しかし、アグネスが同書で訴えるのは全く別のことだ。抱っこする、話しかけるなど、赤ちゃんとの正しい接し方や、母親自身の心と体の健康が子育てには大切だということを丁寧に説いている。それが彼女の考える「0歳教育」だからだ。