京急川崎駅の本線ホームに設置されていた“パタパタ”こと、反転フラップ式案内表示機が、2022年2月11日をもって引退した。昭和の時代、駅にはさまざまな行先案内表示器が存在していたが、平成に入るとLEDやLCDが台頭。統一される日も遠くないようだ。そこで「行先表示器」の歴史を振り返ってみたい。
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■パタパタの魅力
京急川崎駅のパタパタは高架の本線ホームに設置されていた。先発列車の停車駅ランプの表示が変わると、「先発」「次発」「次々発」の順に「パタパタパタ」と音を立てて、発車番線、列車種別、行先、発車時刻、両数などがリズミカルに流れてゆく。
最大のメリットは、アナログ機器ではもっとも素早く表示できることだろう。国鉄時代からJRグループの初期にかけて、東海道・山陽新幹線は<ひかり>の停車駅が多岐にわたっており、列車によっては駅の停車駅欄がパタパタまわり続けていたのではないだろうか。
パタパタは、空港ターミナルビル内の出航時刻表のほか、『ザ・ベストテン』(かつてTBS系列で放送された歌番組)の曲紹介にも使われた。「今週の第1位」と司会の久米宏や黒柳徹子が発すると、パタパタがまわり、どの曲がランクインされたのかドキドキした昭和世代の視聴者も多かったのではないだろうか。
パタパタのデメリットは最大2行分しか表示できないこと。特に停車駅が多い列車などの場合、2行分キッチリ収めなければならなかった。