■LEDよりも見やすいLCD
フルカラーLEDとともに普及が進んだのがLCDだ。細かい文字や小さい文字もわかりやすく、見やすい。LEDと異なり、イラスト、写真、映像の表示も容易にできるほか、文字の情報量が多くても、スクロールと一括表示の両方にも対応できる。
JR東日本首都圏ではホーム行先表示器のLED化がほぼ完了していたことから、駅の改札付近に設置し、他社線も含めた運行情報などを流すことから始まった。また、テレビ番組の放映もできる。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、NHKの緊急報道特番が延々と流れていて、食い入るように見つめる人々も多かった。
鉄道車両内でも、2002年の東急電鉄2代目5000系、JR東日本E231系500番台を皮切りに、車内の旅客情報案内装置として急速に普及した。近年は特急車両にも波及しており、京成電鉄2代目AE形、西武鉄道001系ラビューでは、一部区間に限り、前面展望映像を流すサービスもある。
ちなみに、モニターによる行先案内表示器は昭和の時代にも存在しており、東武鉄道浅草駅などでは、ブラウン管が使用されていた。
■行灯(あんどん)式
LEDが普及するまでは、あらかじめセットした文字を蛍光灯や電球などで光らせる行灯式が多く、パタパタとともに行先案内表示器の主役を担う存在だった。
かつて、東武鉄道浅草駅の階段付近では、特急列車と急行列車の発車案内ボードがあり、空席があると「発売中」、満席になると「うりきれ」が表示され、当該の列車が発車すると消灯する仕組みだった。
行灯式で案内表示が充実していたのは、大阪市営地下鉄(現・Osaka Metro)だ。ホーム内に「行先あんない」と「次の列車は」の2つが配置され、くわしく、わかりやすい。前者は今度発車する列車の行先を表示していた。
後者は「今度の列車」も含め、列車の所在位置を表示していた。例えば、御堂筋線淀屋橋駅の場合、「中津を出ました」「梅田に着きました」「梅田を出ました」の順に表示される。ただし、運転本数の多いラッシュ時などでは複数表示された。