AO入試での入学者数が国立大で最も多い東北大(撮影/加藤夏子)
AO入試での入学者数が国立大で最も多い東北大(撮影/加藤夏子)
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 大学入試というとペーパーテストをイメージする人も多いが、いま、多くの大学が取り入れているのがAO入試だ。2021年度入試から「総合型選抜」と呼ばれている。一般入試組との学力差を懸念する声もあるが、近年、国立大ではAO入試組のほうが成績が高いところもある。自ら学ぶ意欲のある優秀な学生を集める、国立大の多様なAO入試の実態とは。 

【ランキング】国立大学でAO入試(総合型選抜)の入学者が多いのはどこ?

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 大学入試は「一般入試」「推薦入試」「AO入試」の3つに大別される。21年度入試からそれぞれ呼び方が「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」と変わっている。(以下、一般入試、推薦入試、AO入試と呼ぶ)

 AO入試は日本では1990年度に慶應義塾大が湘南藤沢キャンパス(SFC)の開設と同時に導入した。アメリカの4年制大学ではアドミッション・オフィス(AO、入学事務局)が入学者選抜を行っており、その形式をモデルにしている。調査書や志望理由書に加え、面接、小論文などをもとに学生を評価する。ペーパーテストだけで決めるのではなく、学習意欲を総合的に判断するのが多くの大学に共通する狙いだ。

■この10年で国立大はAO入学者が倍増

 近年、AO入試で入学する学生が増えている。文部科学省の調べでは、3つの入試方式別の2020年度入学者数に占める割合は次のようになっている。

<国立>一般入試=83.0%、推薦入試=12.4%、AO入試=4.2%
<公立>一般入試=71.0%、推薦入試=25.3%、AO入試=3.3%
<私立>一般入試=43.3%、推薦入試=44.4%、AO入試=12.1%

 私立の入学者数は、この年に初めて推薦入試が一般入試を超えた。また07年度には一般入試の割合が5割を切り、推薦入試+AO入試の数がそれを超えた。

 国立大は2000年度からAO入試を導入し、入学者数は増加傾向にある。その数は11年度には2704人だったが、21年度には5342人とほぼ2倍になった。

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16年には京都大が特色入試を導入