「学びの過程それ自体を評価するというコンセプトがはっきりと表れています。面接でも『あなたはこの入試を通じて何を学びましたか』ということを常に聞かれます。学習能力と意欲の強さが合否を決める、ほかに類のない入試です」(同)

 同大はHPで「多くの人に、この風変わりな、しかし受験することで『何かをえられる』入試にトライして欲しいと願っています」と受験生に呼びかけている。

 AO入試で多くの受験生を募集している大学はどこか。表は2021年度の国立大入試において、AO入試で入学した学生が多い大学のランキングだ。

 1位は東北大だった。AO入試による入学者は646人。入学者に占める割合は26.8%だった。2位の弘前大は、入学者に占める割合が3割を超えた。同大はAO入試での募集定員を、20年度の337人から428人へ増やしている。

 東北大がAO入試を導入したのは2000年。高校卒業から4年以上経過した人が対象の「AOI期」、現役高校生が対象の「AOII期」、現役高校生に加え既卒生も対象となる「AOIII期」の3方式があった。現在ではAOI期は廃止となり、11月にAOII期、2月にAOIII期が行われている。

■「何かに熱中した経験がある学生は強い」

 割合を増やしてきた理由は何なのか。同大の滝澤博胤(ひろつぐ)副学長はこう話す。

「一つはAO入試で入学した学生の成績が良く、一般入試で入った学生にも好影響を与えてくれたことです。東北大はAO入試を志望する学生に対して学力を非常に重視していますし、熱意や意欲も求めます。高校時代の学び、趣味など、何か一つの物事に熱中した経験がある学生は強いと考えています」

 東北大はAOII期、III期ともに、各学部のアドミッションポリシーに沿った素養を問う筆記試験を課す。通常の入試問題よりもさらにひねった「ポケットの中にあるものを組み合わせて解くような問題」と滝澤副学長は言う。

 そうした難易度の高さもあり、AO入試で入学した学生の成績は入学後も良好だ。20年度の卒業生においてGPA(科目別の成績評価・GPの平均数値。東北大のGPは0.0~4.0の5段階)の4年間の平均を見てみると、一般入試前期日程で入学した学生は2.52。一方、AOII期は2.72、III期は2.74だった。

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「学力は一般選抜の学生と同等かそれ以上」