それを止められない世界の国々。こんなにもろく私たちの日常は奪われてしまうのか。
国連は何をしているのか。常任理事国にロシアのいる安保理決議は難しいとしても、総会の賛成多数で採択したはずの非難決議は何の効力ももたないのか。
国連に詳しい友人の話では、今の国連には影響力を持つ人物がいないこと、全ての国が一票を持つ平等主義がかえって邪魔をしているのではないかという。
戦争が終わった後、日本では昨日まで「天皇陛下万歳」と言っていた先生や親など大人たちが、突然これからは民主主義だと言い始めた。その時から私は自分で見たり考えたりしたこと以外信用できないと知った。
多くのロシア人に一日も早く真実に気付いて欲しい。
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中
※週刊朝日 2022年4月1日号