天皇、皇后両陛下の長女、愛子さま(20)が成年皇族となって初めての会見に臨んだ。初々しくも気品あふれるその姿に、「愛子天皇」待望論がさらに高まりそうだ。令和の皇室は、未来に向けてどんな変化を遂げていくのか──。
【写真】雅子さまと手をつなぎ学習院初等科の入学式に向かう愛子さま
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愛子さまの堂々たる会見を受け、一部の間で根強い「愛子天皇」への待望論がますます高まる可能性がある。共同通信が2019年に行った世論調査では、「女性天皇を認めることに賛成」が81.9%と多数を占めていた。
だが、政治の現実を見ると、そこには大きな壁がある。安定的な皇位継承のあり方を検討してきた政府の有識者会議(座長=清家篤・元慶応義塾長)は昨年12月、岸田文雄首相に報告書を提出した。その主な内容は、
・戦後皇籍離脱した旧11宮家の男系男子が養子として皇族復帰する
という2点について検討を求めるもの。重要な論点であるはずの女性・女系天皇の是非には触れなかった。仮に「皇族の数」を確保できても、将来、皇位継承資格を持つ人は事実上、秋篠宮家の長男・悠仁さまだけになってしまう可能性がある。
これに噛みついたのは、旧民主党政権で女性皇族を当主とする「女性宮家」創設の論点整理を主導した立憲民主党の野田佳彦元首相だ。2月18日の衆院予算委員会で、野田氏は「報告書は安定的な皇位継承策について回答していない。本質的な問題をなぜ先送りするのか」と、岸田首相を攻め立てた。「丁寧に議論したと認識している」と述べるにとどまった岸田首相に対し、野田氏は「次世代の皇位継承者が一人しかいないとの危機感があまりにもない」と吠えた。首相周辺は「正直、首相は迫力に押されていた」と舌を巻いた。
自民党は、麻生太郎副総裁を検討組織の座長に指名。今後の議論を皇族数の確保策に絞る考えだ。こうした考えの背景には、男系男子のみが皇位を継承してきた伝統を崩すべきではない、という考えがある。自民党の下村博文前政調会長がこう語る。