昨年12月、有識者会議の清家篤座長(左)から報告書を受け取る岸田文雄首相
昨年12月、有識者会議の清家篤座長(左)から報告書を受け取る岸田文雄首相

「今の男女平等の価値観はもちろん必要ですが、それを皇位継承の議論にそのまま当てはめるべきではない。男系で126代にわたって紡いできた歴史を無視していいのか、という謙虚さも持たなければいけません」

 下村氏が推すのは、報告書にもある旧宮家の皇族復帰案だ。

「歴史を見るとこれまでも何度か断絶の危機がありましたが、何代も遡(さかのぼ)って男系男子を探し出したこともある。旧11宮家は戦後、GHQによる皇籍離脱で民間人になっただけで、本来なら存続していた宮家。そこから養子縁組をお願いするのが、妥当な選択肢でしょう」

 一方、立憲は野田元首相をトップとした検討委員会を立ち上げ、意見集約を図っている。小川淳也政調会長はこう語る。

「皇位継承順は男女を問わず天皇直系の長子を優先するという立場が原則的な見解。旧立憲時代は女系天皇も認めるという考え方でしたが、旧国民民主党から合流した人もいるので、すり合わせが必要になる。自民党保守派に比べると、ジェンダーの問題に関してもリベラル寄りの考え方を持つ人が多いことは確かです」

◆全会一致可能な落としどころは

 ちなみに、小泉純一郎政権下の04年に設置された有識者会議でも、天皇直系の長子を優先することが適当とされ、女性・女系天皇を容認する内容の最終報告書が出された経緯がある。

「たとえば女性天皇が誕生し、その方にご子息かご令嬢が誕生されたとして、国民が『なぜその方に皇位を継承してはいけないんだ』という気持ちになる可能性もありますよね。皇室への敬意というのは人間の感情の問題でもある。女系天皇を認めていくかも、最終的には国民の受け止め方次第だと思います」(小川氏)

 小川氏に「愛子天皇」について聞くと、「情緒的に言えば違和感がないというか、むしろ見てみたい」と答えた。

 ただ、現実の政治状況を考えると、7月に参院選を控える中、皇位継承のあり方について踏み込んだ議論が行われる可能性は低いとみられている。ある政府関係者が嘆く。

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