週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「首・腰の手術」の解説を紹介する。

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 首と腰の病気は、背骨の後ろ側を通る神経が関係するため、痛みのほかにしびれなどの神経症状が生じやすいことが特徴だ。

 首の病気は、首の骨の後ろ側にある脊柱管を通っている神経の脊髄がダメージを受ける「脊髄症」と、脊髄から首や肩、腕へと枝分かれしている神経根がダメージを受ける「神経根症」の二つに大きく分けられる。脊髄症の原因に、頸椎症、後縦靱帯骨化症、頸椎椎間板ヘルニアがあり、神経根症の原因に、頸椎症、頸椎椎間板ヘルニアがある。

 腰の病気には、腰部脊柱管狭窄症、成人脊柱変形、腰椎椎間板ヘルニアなどがある。腰椎椎間板ヘルニアは事故などの衝撃が原因になることもあるが、これらの病気のほとんどの原因は一種の加齢変化である。

■「いつの間にか背骨が曲がってきて…」要注意

 治療は、まずは薬物療法や運動療法、コルセットで固定する装具療法といった保存療法を通常3カ月以上実施する。それでも改善しない場合に検討されるのが手術だ。手術については、後半で解説している。

 近年では高齢化にともない、背骨が曲がる成人脊柱変形の患者が増えている。「いつの間にか背骨が曲がってきて姿勢が変わった」という人は要注意だ。大きく改善するには広範囲に背骨を固定する手術が必要となり、実施できる病院は限られる。

  次ページのチャートでは、腰部脊柱管狭窄症の治療の一例を示した。薬物療法などの保存療法を実施し、改善しなければ手術が検討される。

 総合せき損センターの前田健医師は次のように話す。

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手術の判断で大事なのは「今困っているかどうか」