<IR事業用地は液状化しないとの認識の下、これを前提に計画を進めてきた>

<液状化リスクのある土地では、IRのような大規模開発は極めて困難>

 内部資料にはこうも追記されていた。

<夢洲での大規模開発は、軟弱地盤であり、支持地盤(洪積層)が長期に沈下する極めて稀な地盤>

 この文書を受けて大阪市は独自調査をせずに、書面だけで判断し、たった3ヶ月で液状化対策費用の負担を決定している。それまで大阪市議会に「液状化しにくい」と何度も答弁していたのが、いとも簡単に覆したことに対し、与野党から驚きの声が上がった。

 また、MICEについても内部文書で大阪IR社がこう訴えている。

<世界的に蔓延している新型コロナウイルス感染症により、MICE事業及び

IR全体事業を取り巻く環境が大きく変化>

<感染症リスク等に伴う将来の不確実性を勘案し、IRの事業性は保守的に評価せざるを得ない状況にあり、投資額の圧縮は避けられず、施設計画の合理性が必須>

 すると、大阪市もこう応答している。

<新型コロナウイルス感染症による影響を考慮すれば、段階整備の必要性は一定理解できる>

 大阪IR社の経営や収益、わかりやすく言えば、儲けについて配慮しているのだ。3月16日、大阪市議会でIR誘致に反対の立場で討論した、山本長助市議(自民)はこう話す。

「IR誘致は公金つかわないという前提だった。もともと、夢洲は大都市の公共工事で発生する建設残土、浚渫土砂を処分できるように埋め立てしている。当初から土壌汚染があることは、歴代市長も土壌汚染を知りながら、IR誘致した責任がある。夢洲は大規模施設が建設できる場所ではない。790億円の負担を短期間で決めた大阪市は、事業者を特別優遇、言いなりだ。大阪はカジノ依存症だ」

 大阪市IR推進局に一連の経緯を取材すると、歯切れの悪い回答に終始。大阪市も調査し、液状化しにくいと、5年近く言い続けていたのは事実と認めつつ、その変説をこう説明した。

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