■愛読参考書見つけよう
学習塾を経営する浜田一志さん(57)は、高校3年夏まで野球に打ち込んで模試の国語の偏差値が38だったにもかかわらず、東京大学理IIに現役合格した経験を持つ。その浜田さんが「受験生に春休み中にやってほしい」と言うのが、教科書や参考書、授業のノートなどを横に置いて、「カンニング」ありで過去問を解くという方法だ。試験時間は本番の2倍とる。
「受験生の多くが、今持っている参考書でいいのかと不安を持っています。カンニングしても志望校の合否ラインを上回れない参考書は自分に合っていないということ。1年間勉強しても合格できません。自分の信頼できる参考書が見つかったら、あとは頭にたたき込めばいい」(浜田さん)
ただ、初見の長文の問題文を試験時間内に理解して解くのはかなり難しい。浜田さんは過去の共通テスト(センター試験)の数学問題を自分で解き、かかった時間と得点から難易度を計算している。今年は満点は取れたものの、全問解くのに試験時間の9割かかり、難易度は過去最高だったという。浜田さんは受験生にこうアドバイスを送る。
「周囲の数学の先生方もみんなぎりぎりで、なかには間に合わなかったという話も聞きました。受験生が来年の共通テストに向けて読解力のスピードをつけるには、検索力を鍛えることが重要です。愛読参考書を見つけて使い込むと、試験で難しい文章が出てきたときに、『似た文章があのへんにあったな』と、記憶がよみがえってきます」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年4月4日号より抜粋