AERA 2022年4月11日号より
AERA 2022年4月11日号より

 話す内容なら誰もが潤沢に持っている。だから、自分のことを話したい。野口さんは言う。

「誰もが『興味を持って聞いてほしい』『共感してほしい』『肯定的に受け止めてほしい』という欲求を持っているんです」

 その欲求が満たされると「自分をわかってもらえた」と感じ、その人の印象が強く残り、「また会いたい」と思う。

■自分語りにハマらない

「話すのが苦手な人の会話を観察すると、自分の話ばかり。あるいは、『もの』や『場所』が主人公になっていて話が広がらない」(野口さん)

 ビジネスパーソンの雑談でよくあるのが、「その場所に行ったことがある」「私の知り合いが」など、結局、自分が主人公になるパターン。相手を主人公にするなら、「姿勢がいいですね! スポーツをされていますか?」「在宅勤務で太ってしまって……。どう体形を維持しているんですか?」などになる。

「相手の話をしようとするだけで、話の流れが変わります。雑談は相手の心をつかむ上で不可欠。雑談が長くなったと感じたら、『つい話に引き込まれてしまって』『そろそろ本題に入ります』と、仕事の話に切り替えればいいのです」(野口さん)

(ライター・羽根田真智)

AERA 2022年4月11日号より抜粋