堀ちえみさん
堀ちえみさん

 令和を駆けるアイドル・島倉さんの目から見ても、82年組の魅力は圧倒的な「個性」だという。

「松田聖子さんというザ・アイドル、王道のかわいらしさを築いた方がいらっしゃったからこそ、ただのかわいいだけじゃない、より目立ったり輝いたりするための個性が必要とされた時代だったのかなと思います。楽曲ももちろんですが、人間的にも個性的な魅力を持った方々が多く登場したのかなと思います」

 グループで活動するアイドルが多数を占める現在と違い、当時はほとんどがソロだった。

「自分がグループで活動しているからこそ、当時の方々のすごさをより感じます。私はメンバーのみんながいないと不安になることが多くて(笑)。みなさんは、それを毎日毎日、代わりもいないなかでやってこられて、プレッシャーもすごかったでしょうし、すごいなと思います。一人で客席にどのような姿を見せるのか、常にカメラに映っているという意識など、勉強になることばかりです」

「82年組」以後も、菊池桃子(84年)、中山美穂、本田美奈子、南野陽子、浅香唯(85年)、酒井法子(87年)など活躍したアイドル歌手は多数いるが、82年を上回るほどの「豊作」年はなかった。85年にはおニャン子クラブが「セーラー服を脱がさないで」でデビュー。グループアイドルと、そこから派生するソロという時代に突入し、アイドルのあり方は大きく変わっていった。

 早見優や松本伊代、石川秀美、堀ちえみらは現在もプライベートで交流を持ち、お互いのブログやSNSなどに登場するなど、82年組は仲の良さでもよく知られている。

 アイドル卒業後のありかたも、やはり松田聖子が切り開いた部分が大きいと中森さんは指摘する。

「百恵さんは結婚を機に引退し、その後は一度も復帰していません。ずっとアイドルを続けるということは、70年代には考えられなかった。そこも松田聖子さんが、結婚、出産しても引退せず、『ママドル』という言葉も生み出し、ずっとアイドル的存在であり続けるという道を切り開いた。82年組は歌手やタレントなどそれぞれのポジションを見つけて活躍を続けている方々が多いですが、聖子さんの道を引き継いでより発展させていったということですね」

(週刊朝日2022年4月22日号より)
(週刊朝日2022年4月22日号より)

(本誌・太田サトル)

週刊朝日  2022年4月22日号

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