7月18日~20日に訪日した韓国の朴振(パク・チン)外相は、林芳正外相、岸田文雄首相などと会談した。韓国外相の訪日は2019年11月以来、韓国外相が日本の首相と会談するのは、18年7月に安倍晋三首相(当時)が康京和(カンギョンファ)外相(同)と会談して以来約4年ぶりだった。
安倍政権時代からの嫌韓政策や韓国側の慰安婦合意不履行の問題などもあり、史上最悪と言われるほど悪化した日韓関係の正常化に向けて、大きな意味のある一歩である。
韓国側には、日韓関係を改善したいという強い意欲が見て取れる。慰安婦問題では、15年の日韓合意は尊重すると表明し、新たな解決策を作ろうとしている。また、徴用工問題でも、早ければ8月になる可能性もあるとされる敗訴した三菱重工業の資産の『現金化』の前に望ましい解決策が出るよう努力する意向も表明した。
ただし、議会で少数派の尹大統領政権としては、国内世論対策としても日本側からの何らかの誠意ある対応を必要としているのに対し、日本側は、韓国がまずは満額回答を持って来いという姿勢を崩していない。双方ともメンツや世論対策で手足を縛られる状況なので、せっかくのチャンスも失われる可能性がある。
そこで一つ提案だ。いますぐ実施可能で、しかも両国にとってウィンウィンとなるディールを行い、相互信頼を醸成した上で、より困難な徴用工問題などの解決に取り組むのだ。そう言うと、軍事協力だと思うかもしれないが、そうではない。もっと良い話がある。
それは、日本が19年に実施した対韓輸出規制の撤廃だ。この規制により、日本企業は対韓輸出の大幅減少などで多大な損失を被ったが、韓国側には大きな影響を与えることができず、完全な失敗に終わった。これをいますぐに解除するのだ。日本企業に大きな利益があり、韓国側もこれを日本による「譲歩」だと国内向けの宣伝に使える。一石二鳥である。