
それでは実際にあった不意打ちの性差別を紹介します(100年前の話ではなく、ここ数年の話)。
性差別例1:大学で。新入生のオリエンテーションの休憩時間に、数人の女子学生たちと男性教授(40代)が話す機会があった。話といっても男性教授が一方的に自分の話をするようななかで、唐突に楽しげな感じでこう言ったという。「最近、友だちに『女の子のいるお店で飲みたい』って誘われるんだけど、僕は毎日、若い女の子と話してるから必要ないんだよね~」
さぁ、みなさんならどうしましょう。希望を持って入った憧れの大学で、これから授業を受ける先生にそんなことを言われたら。一瞬、何を言われたのか分からず、はは、と力なく笑うことしかできないですよね。実際にその発言を向けられた女性も、気持ち悪さに衝撃を受けながら適当に笑うしかなかったそうです。つらいですね……。
覚えておいたほうがいいことは、性差別者は職業・学歴を問わないことです。まさかこの人が? という人がやらかします。残念ながらこの国で暮らしている以上、女性に対する認知がゆがんでしまう可能性は低くないからです。学校の先生に性差別言動をされたとき、その場で直接「気持ち悪いです」「それはセクハラにあたります」「やめてください」と言えるのが一番いいですが、聞かない人も少なくありません。まずは発言を文書で記録し、信頼できる先生や、セクハラを扱う大学の部署に報告することなどもできます。こういう気持ち悪さは尾を引きます。一緒に抗議してくれる仲間を見つけ、できるだけ公にしていく道を選んでいいと思います。
性差別例2:職場で。自分のミスで顧客(男性)を怒らせた。「上の人間を出せ!」と言われたので、上司(女性)に電話を代わったら、「女が上司なんてふざけるな!!!!」と電話口で上司が怒鳴られた。「女のくせに」「これだから女は」とさんざん性差別を吐く顧客に対し、最終的に、その女性上司と同等の男性社員数人が顧客の家に謝罪に行った。帰社した男性社員がなぜか恩着せがましい感じで「まとめてきたから」「男どうしのほうがまとまるものだな」と女性上司に言っているのが聞こえてきた。
つらい状況ですが、2022年現在もときどき聞く日本のリアルです。責任のある場所に女性がいることに慣れず、キレる客が一定数います。そして、そういう性差別をたしなめることなく、「お客様は神様です」の姿勢を崩さずに、女性社員を二重におとしめてしまう職場もあります。こういうとき、「女のくせに」とキレる客に対して、「お客様の気持ち」を最優先させず、女性社員の尊厳を守ることを優先させてほしいと、私は企業の上の人に求めたいです。女性が働きにくさを感じたり、日常的に心を傷つけられたりする会社に未来はありません。ちなみに私が聞いたこの話は、誰もが知る大企業で起きたことです。