<aAERA4月25日号
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 文字や文章として覚えようとすると、思うようにはせりふは覚えられない。「気持ち」として覚えていかないと入ってこないんですね。何を思ってこう話すのか、どんな動機があるのか、という気持ちの部分を頭の中に入れておくと、「次はこの言葉だ」と自然と出てくるようになるんです。

 2、3時間かけて覚えたら、少し寝て、「レッツゴー!」という感じで、現場に向かっていました。ちゃんと寝ないと、ろれつが回らないですからね。

 現場には、明るく元気いっぱいのキャスト、スタッフの皆さんがいて、自分の性格も明るい方だと思うので、相乗効果でどんどん楽しくなっていったことを覚えています。受付に立つ役なので、想像以上に足は痛かったですけれど(笑)、「疲れたな」「早く撮影が終わらないかな」と思うことはありませんでした。

——昨年は初の単独主演舞台『葵上』『弱法師』-「近代能楽集」より-やドラマ「准教授・高槻彰良の推察」への出演など、俳優としての仕事が増えてきた。演技についての本を意識的に読むようにしているという。

神宮寺:1年ほど前から、演技について書かれた本を何度となく読み返しています。そこに書かれていることが常に正解ではないのかもしれないですけど、一つの「手法」としてとらえて、一度頭に入れてから取り入れるかどうかの判断をしたいんです。自分の演技において、ここは取り入れるべきかどうか、と考えていくのも好きなのだと思います。

■すぐに染まれるように

——普段から、物事は論理的に考えるタイプだ。

神宮寺:たとえわからなくても、論理は知りたいし、きちんと耳を傾けたい。その分、時間はかかりますけれどね。ドラマの場合、たとえば8話目にあるシーンを撮影してから、3話目のシーンを撮影して、と細切れの撮影になるので、監督と一緒に「いまのこの気持ちはこういうことですよね」と、確認しながら撮影に臨みました。

 お芝居をするときは、僕自身は真っ白でいたい、といつも思っています。自分の中で考えてきたことを現場で試してみるのはもちろん大切だと思いますが、監督に言われたら、すぐにその色に染まれるようになりたい。理解できなければ、「どういうことですか?」と何度も確認はしても、「そういうことか」と納得できれば、すぐにその色に染まれるようになりたい、と思っています。

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