幼い頃から、子役として活動してきた伊藤沙莉さん。印象に残っているこれまでの仕事を尋ねるとこう答えた。「影響力をすごく感じたのは、朝ドラ、『ひよっこ』(2017年)ですね」。同作で演じたのは、米屋の一人娘、米子。“はまり役”だった。
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「出演したことで、認知してくれる年齢層が明らかに上がりました。それまで学園ものに出ることが多かったので、自分と同じか、その下の世代には知ってもらえていたんですが、それが一気に上にものびて。『伊藤沙莉にこれをやらせてみたらおもしろい』とか、お仕事関係の方含め、みなさんに考えていただくきっかけになることが増えて、自分の役者としての可能性も広がったのかなと思います」
最近では、声優などにも活躍の場を広げているが、実はいま役者人生の“第2章”の真っただ中。気になるその行方は──。
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──ドラマ「拾われた男」でヒロインを演じます。本作では、主人公が“拾われる(人との縁がつながる)”ことで、夢を叶(かな)えますが、伊藤さんの“拾われた”エピソードは?
18歳で移ったいまの事務所とつないでくれた方との出会いですね。当時、進路に悩んでいたんですけど、高校に提出する届けに「女優」と書くのも恥ずかしくて。そんなときに背中を押してくれたのが、その方です。「何がしたい?」と聞かれて、私、「俳優ができれば、とりあえず何でもいいです」と答えたんです。そのとき役者としてやっていく覚悟を決めました。お芝居がしたくてこの世界に入ったわけではないんですけど、出てきた答えは不思議とお芝居でしたね。
──やめたいとは?
思ったことないです。私、飽き性で習い事は何も続かないタイプなんですけどね。いまでも演技への興味は湧きつづけています。いい例えではないかもしれないですけど、子どもの頃にやった“ごっこ遊び”の派生みたいで。もちろん仕事なので、真剣ですよ。でも、役に、一人の人間の命が宿っていく過程や相手とのやり取りで生まれる空気を感じることが楽しいんです。それから、美術さんが作った空間を見て、「わぁ……!」って感動したり、演出の方や技術さんと接したりすることも。いろんなプロたちと、ひとつの作品を作るっていうのはすごく贅沢な時間だなって思います。