ガボラ (c)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (c)円谷プロ
ガボラ (c)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (c)円谷プロ

「ウルトラマンといえば、『ジャミラ』や『ウー』の回のように、怪獣の存在そのものでアンチテーゼを投げかけるような社会性の強いエピソードもありました。一方、今回登場するネロンガやガボラは、電気、原子力という人類にとって発展の象徴のようなエネルギーへの脅威となる存在。ザラブとメフィラスは、単に力で征服しに来るのではなく、こちらの弱みにつけ込んだインテリジェントな戦略で挑んでくる存在です。どちらも、ウルトラマンという作品のエンターテインメントとしての特質を象徴するような正統派のセレクトだと感じます」(清水さん)

 清水さんはこれらの4体が登場することによる作品構造に期待する。

「テレビシリーズの『ウルトラマン』は、30分番組の前半で怪獣や宇宙人が現れ、番組後半にウルトラマンが登場してクライマックスを迎えるという構造です。それを2時間の映画に当てはめた場合、1時間半過ぎたころにウルトラマンが登場する、というわけにはいかないでしょう。おそらく、複数の相手が登場することで、そのつどウルトラマンに変身して戦っていくことになるのでは。そうすることで、オリジナル版にあった『構造』のようなものを守っているのではないかという気がしています」

 今作で大きく注目されている点の一つが、シン・ウルトラマンのデザイン。“背びれ”をはじめ、ウルトラマンの「象徴」のようなイメージのカラータイマーがないことも世間を驚かせた。実はこれ、初代ウルトラマンをデザインした芸術家・成田亨さんの絵画「真実と正義と美の化身」に描かれたウルトラマンの姿がコンセプトの原点になっているという。企画・脚本を務める庵野さんは「この美しさを何とか映像に出来ないか」という思いを持っていたといい、次のようなコメントを残している。

◆ゾフィーの言葉 意味するものは

「成田亨氏の目指した本来の姿を描く。現在のCGでしか描けない、成田氏が望んでいたテイストの再現を目指す事です」(映画の公式サイトから)

 氷川さんは「プロポーションや質感、成田さんが理想としたデザインを表現するため、これまでのCGの限界を超えたいという思いを込めたCGなのだと思います」と語る。

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