──役選びで心がけてきた点はありますか?

「私がここまで続けてこられた一つ目の理由は、“かわい子ちゃん女優”のカテゴリーに入っていなかったという点。二つ目は、役の大小にかかわらず、同じような役を避け、常に異なる役を演じようとしたこと。幸運に恵まれたとも思う。原則を信じていたから」

──「エイリアン」の英雄的なリプリー役で、女性のアクション俳優の先駆的な存在になったことについては、どう感じていますか?

「『エイリアン』では、まさか無理だろうと思われたエレンが生き延びた。経験が最も浅く、責任も与えられていない女性、それが逆に有利となった点が面白い。『エイリアン』のイメージからか、“SFの女王”と言われることもあるけれど、実のところSF作は『エイリアン』と『アバター』(2009年)だけ。たまたまその2本がヒットしたわけ。『愛は霧のかなたに』や『ワーキング・ガール』(88年)など、多種多様な役を演じる機会があって幸運だった。いろんな国の人が、私のことをさまざまな役で覚えていてくれる」

──最新作では、サリンジャーが名声を逃れ人知れぬ生活を送っていた様子が描かれていますが、望まない人から好奇心を向けられることを避けるあなたの方法は?

「SNSにほとんど関わっていない。もっと積極的に発言し、活発に携わったら環境保全活動などに役に立つのでは、とは感じている。SNSで活躍している多くの女性を尊敬している。ただ、もっと優しい言葉をかけ合えたらベターだとも感じる。異論を唱えるときも、攻撃的になるのはあまり好きではない。お互いに助け合うことが大切だと思うから」

(在ロンドン・高野裕子)

週刊朝日  2022年5月6・13日合併号