あの人のお父さんがお相撲さんで、相撲から来た俺に親しみを持ってくれたんだと思うけど、言わなくていいことまで言って、やかましがられていたね。まぁ、口は達者だけど、態度ででしゃばったりはしなかったから、いい人だと思うよ。ただ、なんでも「万里の長城を130キロのダンベルを持って、一本歯の高下駄で走った」くらいに大げさな話をするんだよなぁ。そんなんだから健康で長生きしているのか(笑)。
なんだか、キム・ドクの話が多くなってしまった(苦笑)。最後に、ファンのみなさんに言いたいのは、純粋に「ジャンボ鶴田っていうすごいレスラーがいたんだ」ということ。もしかしたら、ジャンボの現役時代をリアルタイムで観られなかった人もいるかもしれないが、日テレジータスや過去のビデオを観て「日本人でもこんなに素晴らしい選手がいたんだ」と分かってくれると、きっと彼も喜ぶだろう。
ジャンボは「プロレスでは俺が第一人者だ」という自負があったけど、決して偉ぶったことをしない、不思議な人だったね。彼の悪口を言っている人も見たことがないし、言っているのは俺ぐらいだろう(笑)。決して嫌味で言っているんじゃないぞ! 当日はジャンボが喜ぶような、派手で楽しい興行になることを楽しみにしているよ!
(構成・高橋ダイスケ)
天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。