まぁ、その目論見はもちろん上手くいかなったわけだが……。ジャンボも自分の息子はちゃんとした家の女性と結婚させたかっただろうからね。ジャンボは子どもを道場に連れてくることはなかったけど、俺だけは娘を連れて一緒に練習していて、娘はすっかりプロレスラーをナメるようになってしまったから、息子と結婚するのは嫌だったろう(笑)。

 追善興行の会場には俺も行くんだけど、ジャンボはもちろんいないし、三沢(光晴)もいないしなぁ……。ザ・グレート・カブキさんとか、小橋(建太)とか、いつものメンツが集まるのかな。そういえば、当日はキム・ドク(タイガー戸口)の引退試合もあるのか。彼は俺の2歳年上だけど、無事にリングに立って引退できるのは幸せだよ。俺は今、杖をついてないと立っていられないけど、彼は自力で立っていられるからね。それだけでも十分だ。

 キム・ドクは、俺が全日本プロレスに入ったとき、ジャイアント馬場さん、ジャンボ鶴田、キム・ドクという三本柱になりつつあったんだけど、大木金太郎さんのパートナーがいないからって、敵方に回って情勢が変わったんだよね。

 彼とはアメリカ修業時代のノースカロライナで一緒で、タッグを組んで旅をしたこともある。向こうの自宅に家族と住んでいて、俺も何度か遊びに行ったよ。そのときの話でよく彼が「天龍がうちのかみさんのチェリーパイが好きで、よく一緒に食べた」って言うんだけど、俺は食べた記憶がないんだよね……。どういうことだ? 当日、会場で会ったら確かめておかないとな。ちなみに、キラー・カーンも「天龍が8000万円の現金を持って俺に『SWSへ来てくれて』と言った」とよく言うんだけど、そんな事実もないぞ。

 キム・ドクを一言で言うと世話焼きオッサン。なにかにつけて口を挟んでくるやかましいやつだ。俺が相撲からプロレスに来て、洋服をどうしたらいいかわかんなくて、しましまの柄のズボンにチェックのシャツを着ていたら「センス悪いな。柄のズボンを履くときは、上は無地だよ。めちゃくちゃ目が疲れる。やかましんだよ、その着こなし!」と言われたこともある(笑)。

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ジャンボ鶴田について最後に言いたいこと