瀬戸内寂聴著『寂聴 九十七歳の遺言』(朝日新書)※Amazonで本の詳細を見る
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 私は92歳で胆のうガンをとった時、全身麻酔をしました。おへそのまわりに3つ穴を開けて、ぴゅうと袋ごとガンを摘出しました。痛くも痒くもなかったんです。後で見たら、焼いたらおいしそうな胆のうでした。

 その時の全身麻酔がとても気持ちよかった。すうっと意識が遠のいて何もわからなくなる。「こういうのが死の瞬間なのかな。だったら死ぬのも気持ちいいな」と思いました。

 ただ、みなさん覚えておいて下さい。全身麻酔は非常に気持ちがいいけれど、麻酔が切れる時が怖いんです。夢うつつの時にいっちゃいけない人の名前を呼ぶことがあるそうです。昔むかしの恋人の名前や、今の不倫相手の名前を呼ぶというのです。

 秘密は秘密のまま死んだ方がマシかもしれません。でも、お医者さんはそのことを誰にもいっちゃいけない。法律で禁じられているそうだから安心して下さいね。

 私は誰の名前も呼ばなかったらしいですが、心配な人は麻酔の前にご主人や奥さんの名前を一生懸命に唱えて、それが声に出るようにしておきましょう。

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