楽天・田中将大(左)と巨人・菅野智之
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 開幕から30試合以上が消化され、上位と下位の差が徐々に開きつつあるプロ野球だが、今回は今年復活を期す選手にスポットライトを当ててみたいと思う(成績は5月8日終了時点)。

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 まず驚きの復活劇を見せているのが西武の主砲、山川穂高だ。2018年からは2年連続ホームラン王に輝いたものの過去2年間は故障もあって成績が下降。今年も開幕直後の3月30日に行われた日本ハム戦で右太ももの肉離れを発症し、いきなり登録抹消となっている。しかし4月19日に一軍復帰を果たすと、以降の17試合で10本塁打とホームランを量産。規定打席不足ながら、本塁打、打点でリーグトップの数字を叩き出しているのだ。

 また、これまで出場した22試合のうちノーヒットだったのは3試合、出塁できなかったのはわずか1試合と長打力だけでなく打撃の安定感も抜群で、OPSは脅威の1.411となっている。ミートポイントを以前のように投手に近い位置に戻したことが復調の要因と言われているが、内角の厳しいコースに対しても見事なさばきを見せており、タイトルを獲得した年と比べてもワンランク打撃がレベルアップした印象を受ける。

 歴史的な投高打低と言われる今年のパ・リーグにあって、これだけ安定してホームラン、長打を打てる存在というのは極めて貴重であり、山川の成績がチームの勝敗に直結しているのもよく頷ける。今後、多少の調子の波は当然出てくると思われるが、怪我での長期離脱さえなければ3年ぶり3度目のホームラン王の可能性は高そうだ。

 パ・リーグの野手でもう1人目立つのが今宮健太(ソフトバンク)だ。2013年からは5年連続でゴールデングラブ賞を受賞するなどリーグを代表するショートとなったが、2018年以降は故障で成績を落とし、昨年も打率2割台前半と不本意な数字に終わっている。今年は大物外国人のガルビスの加入もあって苦しい立場に追い込まれていたが、4月下旬からはヒットを量産。三森大貴と並んでヒット数はチームトップ(38本)で、打率もリーグ2位となる.342をマークしているのだ。

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