いまむら・しょうご 1984年、京都府生まれ。ダンスインストラクター、作曲家、守山市埋蔵文化財調査員を経て2017年、『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で作家デビュー。20年、『八本目の槍(やり)』で吉川英治文学新人賞、『じんかん』で山田風太郎賞、21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで吉川英治文庫賞など受賞多数。18年と20年に直木賞候補になり、22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。現在、報道番組「Nスタ」(TBS系)にレギュラーコメンテーターとして出演中。 撮影:高野楓菜(写真映像部)
いまむら・しょうご 1984年、京都府生まれ。ダンスインストラクター、作曲家、守山市埋蔵文化財調査員を経て2017年、『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』で作家デビュー。20年、『八本目の槍(やり)』で吉川英治文学新人賞、『じんかん』で山田風太郎賞、21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで吉川英治文庫賞など受賞多数。18年と20年に直木賞候補になり、22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。現在、報道番組「Nスタ」(TBS系)にレギュラーコメンテーターとして出演中。 撮影:高野楓菜(写真映像部)

今村:そうか! 映画化とかドラマ化したときは、グッと行ったほうがいいんですね。勇気出すわ、そのときは。

林:映像化がチャンスですね。

今村:でも、「映像化しづらい。予算かかる」っていつも言われるんですよ、僕の本(笑)。

林:話が変わりますが、最近、本屋の店主になったそうですね。

今村:そうです。林さんの本も、しっかり仕入れさせていただきます(笑)。売れますもんね、林さんの本。

林:どこでやってるんですか。

今村:大阪の箕面で。

林:どのぐらいの大きさ?

今村:60坪ぐらいなので、町の本屋よりはちょっと大きいぐらいです。そこの店がたたまざるを得なくなったので、在庫も全部僕が買って継続しました。ぶっちゃけ、地方のマンション1棟分ぐらいはかかりました。

林:そんなにお金があったってすごいな(笑)。うちの近所に「幸福書房」というのがあって、15坪ぐらいかな。おじさんとおばさんがやってて、私も本屋の娘なんで、そこで私の本を買ってくれた人にサインしたり、せっせと応援してたんです。だけどやっぱりたたむことになって、いろんな人に「林さん、なんで助けてあげないの?」って言われたけど、私も家賃ぐらいは払えても、そこから経営をしていく自信がなくて……。

今村:僕もお金の問題だけやったら、たぶんやらなかったですよ。でも、そこは50年ぐらい続いてる地元の方もなじんでる本屋さんで、店名も変えずに、店長とか従業員の雇用も引き継いで、僕は広告塔的な部分をやって、壁紙も全部貼り替えて、書店の雰囲気をガラッと明るくしたんです。

林:売り上げは伸びた?

今村:はい。140%ぐらい。

林:すごい!

今村:でも、140%アップしたところで、正直、僕、そこから一円ももらってないんです。ただ、店長一人、社員一人で休みもなく回してたのが、何とかバイトも入れることができて、店長もようやく月6回休めるようになって、なおかつ売り上げが伸びてるんで、やってよかったなと思ってます。

林:なんていい人なんでしょう。感動しちゃった。その本屋さんで何かイベントやるとかいうときは言ってくださいよ。私、行きますから。交通費もいらない。

今村:ほんまですか? 林さんが来るとなったら、箕面の町がどよめきますよ。メッチャ喜んでくれると思います。

林:私は本屋の味方で、そういう心根にはほんと惚れちゃう。

今村:やったァ~!! めちゃくちゃ心強い。さすがうち(日本文芸家協会)の理事長!(笑)

(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)

週刊朝日  2022年5月20日号より抜粋

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