報道番組「Nスタ」(TBS系)にレギュラーコメンテーターとして出演する直木賞作家、今村翔吾さん。多くの連載を抱えながらテレビ出演もこなし、経営が傾いた書店の経営もする行動力に、作家・林真理子さんもすっかり驚いていたのでした。
>>前編「直木賞作家・今村翔吾が泣きそうになった教え子ギャルの言葉」より続く
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林:私は今村さんに勝手に親近感を持っていて、今村さん、作家なのにサービス精神があって、テレビとかいろいろお出になってるけど、私も直木賞とったころテレビにいっぱい出てたんですよ。それで悪口をいろいろ言われましたけど、今村さんはどうでしたか?
今村:先に林さんとかいろんな人が道を切り開いてくださってたから、作家がテレビに出ることに関しては、昔ほど抵抗がないというか、反応がなかったですね。僕自身、しゃべること嫌いやないし、ああいうのに出たら気持ちがリセットされて、また新たな気持ちで書けますので。
林:私のときとは時代が違いますもんね。でも、文化人のギャラって今もすごく安いでしょう。
今村:安いです(笑)。お金という意味では、書いてるほうが断然いいですよね。このあいだ僕、有名なバラエティー番組に出ませんかという話をいただいて……。
林:出たんですか。
今村:いや、自信がないこともあって、「ちょっと僕、無理です」ってお断りしました。意外と小心者なんですよ(笑)。
林:私が直木賞とったのが31歳のときだから、今村さん、まだヨチヨチ歩きのころですよね。そして今年38歳になって、デビューして5年?
今村:5年です。
林:5年で本をたくさん出して賞もいろいろとるって、すごいことですよ。しかも、いま連載8本やってるんですって? 8本の小説を同時に書いてるってこと?
今村:はい、そうです。
林:そんなこと可能なんですか。
今村:ただ、ようやく地方紙の連載が終わったので、それで7本になりました。
林:うそ! 新聞の連載もやってたの? 私、新聞連載と週刊誌の連載小説を同時にやってたとき、死ぬかと思いましたよ。