努力、根性とは無縁の超・合理主義者「ひろゆき」こと西村博之さん。現在パリ在住の西村さんは、外国語習得でもその本領を発揮中です。英語やフランス語をどのように習得してきたのか、『AERA English2022』(朝日新聞出版)で取材しました。
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どんなに勉強しても、ネイティブみたいにしゃべれるようにはならない。まず僕はこう自覚しているので、英語学習をがんばった経験もありません。外国人としてそれなりに意思伝達ができればいいと手を抜いてきました。「無理して難しい単語を覚えなくたって簡単にパッと伝わればいい」というスタンスです。
大学3年のとき、アメリカのアーカンソー州の大学に1年留学したのも、毎日英語を使う環境にどっぷりつかるのが楽で手っ取り早いと思ったからです。大学寮に住みESL(※)のクラスと大学の授業の両方に出る日々のなかで、「英語がしゃべれている」と実感したのは、学内のネット設備を管理する事務所でもめたときでした。寮でネットをするのに大学指定のLANカードを買わなきゃダメで、日本から持ち込んだ自前の高価なやつが使えなかった。「ふざけるな!」という怒りの感情に任せて話し始めたら、いろんな言い回しで理不尽さに言及できたんです。
寮で友達と酒を飲んでいるときもそうです。アルコールが入ると「こういう表現で伝わるかな」という余計なことは考えず「とりあえず全部言っちゃえ」と思えた。通じればOKだし、「What?」と聞き返されたら別の言い方で説明する。この繰り返しです。英語に限らず外国語の習得ってホントに「Practice makes perfect.」(習うより慣れろ)ですよ。
海外の旅行先でも、小さな成功体験を重ねていくこと。たとえば飲食店で「トイレはどこですか?」と尋ねてみて、教えてもらったところに行ってみてトイレだったら、これだけでコミュニケーションが成立したことになります。道では最寄り駅、スーパーでは値段を聞いて、時に間違えながら「通じる英語」を会得していくのがいいと思います。