「この世でいちばん好きな人は細野晴臣さん」と語る塙さん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
「この世でいちばん好きな人は細野晴臣さん」と語る塙さん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

「ちょうどその頃にYMOを聴き直して、やっぱりいいなと。その時に、『テクノみたいに一定のテンポでボケとツッコミを繰り返すのはどうだろう?』と思い付いたんです。ヤホー漫才でいきなり下ネタを入れたり、急にテンションを下げるのは、細野さんの特徴であるメロディの展開や転調の影響かな(笑)。その前にやってた漫才はロック音楽に近いというか、柄にもなく叫んだりしてたんですけど、今考えると自分たちに合ってなかった気がして。ほら、細野さんもぜんぜんテンションが高くないでしょ。僕も目に力がないし(笑)、淡々としゃべったほうが面白いのかなと。とにかく気持ちよく聴いてもらえるのがいちばんだと思うので。それで僕らのYMO……、あ、ヤホー漫才オーケストラが誕生したんです(笑)」


■細野晴臣さんのコンサートに出演も


 ヤホー漫才で頭角を現し、瞬く間に人気コンビとなったナイツ。塙さんがとある媒体のインタビュー記事で、「この世でいちばん好きな人は細野晴臣さん」と公言したことをきっかけに両者の交流が生まれ、2017年11月にはなんと細野氏のコンサートにナイツとして出演した。


 筆者はその公演を会場で観たのだが、「1969年にバンド“ほっぴいえんど”を結成し……」「“はっぴいえんど”ね。ホッピー飲み切ったみたいになってるから」「日本酒ロックの礎を築きました」「日本語ロック! 日本酒ロック、飲みづらいわ」という漫才は大ウケだった。


 尊敬する細野氏の前で“細野ネタ”で披露するのはかなり緊張したはず……と思いきや、プロの矜持を感じられるこんな答えが返ってきた。


「漫才は仕事なので、そこは切り替えて、“ウケたい”という気持ちでやってましたね。会場のお客さんはみんな細野さんのファンで、ネタの背景についての説明が必要ないので、テレビや劇場でやる漫才よりもむしろやりやすかったです。東京ドームで巨人のネタをやればウケるのと同じですね(笑)」

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塙氏が小説の執筆に挑戦