4630万円の振り込みミスで揺れる山口県の阿武町役場
4630万円の振り込みミスで揺れる山口県の阿武町役場

 元新潟県知事として、行政でトップの経験があり、弁護士でもある米山隆一衆院議員は、

「私が町長なら、まず自分で田口容疑者のところに出向いて謝罪します。それが行政のトップの役割です。4月8日に間違って入金し、記者会見が21日というのはあまりに遅い。当日に記者会見して返すように訴えるべきだった。その間、法的なこととしては、仮差し押さえなども手続きがとれたはず」

 と指摘する。さらに、「私の経験から」と前置きした上で、

お金が戻ってから記者会見をしよう、ミスを小さくみせよう、できれば公表しないでおこう……といった隠したい思いがあったような気がします。そうだとすると、そこが失敗だったのではないか」

 との見解を述べた。

 短期間に大金を使ってしまった田口容疑者。

「彼が一気に4630万円もネットカジノに使えるような性格とは思えない。あまりにも大きな金額。誰か、カネを使う方法を教えたんじゃないかと話題になっている」(前出の幼なじみ)

 田口容疑者の電子計算機使用詐欺の容疑について、山口県警のホームページには、

<本年4月、自己名義の銀行口座に阿武町から入金された4630万円が阿武町のミスにより誤入金されたものであることを知りながら、自身のスマートフォンを操作してオンライン決済サービスを利用し、自己名義の口座から決済代行業者の口座に400万円を振り替えることにより、財産上不法の利益を得たもの>

とある。元東京地検の落合洋司弁護士は、同容疑について、

「過去の判例では誤入金されたものを、銀行の窓口で事情を知らない行員から引き出したことが有罪になるというもの。今回は、阿武町の公文書で銀行は事前に知っていたこと、ネットバンキングを使っており、人を介在させていないことで、この罪名が適用できるか意見が分かれるところ。新しい判例にするくらいでやらないと、罪に問えない可能性がある」

 と説明する。

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