1981年に「劇団四季」の「ジーザス・クライスト=スーパースター」で主演デビューした山口祐一郎さん。退団後も大作に出演し続け、「ミュージカル界の帝王」と呼ばれる山口さんが、作家・林真理子さんと対談。生い立ち、この道に進んだきっかけなど、「ここだけの話」がいっぱいです。
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林:こんな素敵な山口さんをお産みになったお母さま、すごくきれいな方なんですってね。
山口:きれい、に近い(笑)。
林:お顔はお母さまに似てるんですか。男の子はお母さんに似るっていうから。
山口:でも僕、父親と母親が5人いるんですよ。
林:えっ、5人いらっしゃる?
山口:DNAは、もちろん1番目の両親なんですけど、その後親がどんどん代わっていきまして……。最初の父親と母親は鹿児島の同じ高校の先輩後輩だったんですよ。父親は野球部で、その年のホームラン王。もう1回勝ったら甲子園に行けたのに、負けて行けなくて、その1年後輩が母親だったんです。父親は東京六大学で野球を始めたんですけど、祖父に「野球選手にさせるために大学に行かせたんじゃない」と言われて野球をやめさせられちゃって、ふつうの学生をやってたんですよ。母親のほうは映画のニューフェースに受かって、1年後に東京に出てきて、文学座の研究生になったんです。
林:まあ、そうなんですか。
山口:元野球部の大学生と、文学座に通っている女優の卵が、参宮橋の小さなアパートで一緒に住んだら、そこは劇団四季の稽古場から100メートルぐらいしか離れていない場所で……。
林:私、そのすぐ近くに住んでたんですよ。駅前のカレー屋の2階に住んでたんです。
山口:えっ、ほんとに?
林:「ザ・ベストテン」で「追っかけマン」が「きょうは劇団四季の稽古場からの中継で、野口五郎さんが歌います」と言ったので、そのとき私、こたつで見てたんだけど、すっごい勢いで駆けだして行ったの覚えてますよ(笑)。