悔しい走塁ミスを犯してしまった巨人時代の古城茂幸(写真提供・読売ジャイアンツ)
悔しい走塁ミスを犯してしまった巨人時代の古城茂幸(写真提供・読売ジャイアンツ)
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 プロ野球選手といえども人間。時には平常心を失って、とてもプロとは思えないようなチョンボをやらかしてしまうことだってある。特に打球判断が難しい走塁では、かつての長嶋茂雄(巨人)の“三角ベース事件”に代表されるように、思わず口アングリの珍プレーが起きやすい。

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 日本シリーズ進出をかけたセ・リーグの頂上決戦で、事実上、敗退を決定的にする“残念な走塁”が見られたのが、2007年10月20日のCS第2ステージ、巨人vs中日第3戦だ。

 同年、5年ぶりのリーグ優勝を飾った巨人だったが、CSでは第1戦、2戦と2位・中日に連敗。王手をかけられた第3戦も、8回を終わって2対4の劣勢だった。

 だが9回、「このまま終わってたまるか!」とばかりに、先頭の代打・大道典嘉が中日の守護神・岩瀬仁紀から意地の左前安打を放ち、無死一塁と反撃の狼煙を上げる。

 この重要局面で、原辰徳監督は代走に古城茂幸を起用した。内野を全ポジション守れるスーパーサブで、シーズン5盗塁を記録した足のスペシャリストでもある。

 そして、次打者は前日川上憲伸から3ランを放ち、この日も前の打席で安打を放っているホリンズ。一発が出れば同点という場面で、ホリンズは岩瀬の初球、スライダーをレフトに打ち上げた。

 詰まり気味の打球は、徐々に失速し、レフト・上田佳範が前進してキャッチ。これで1死一塁と思われたが、次の瞬間、スタンドの巨人ファンから悲鳴のようなどよめきが起きる。

 なんと、一塁走者の古城が何を思ったのか、二塁ベース手前まで来ているではないか。自分の進行方向の打球なのだから、見えないはずはなかったのに……。

 ボールはすぐさまファースト・中村紀洋に送球され、まさかの併殺……。致命的な走塁ミスに、ベンチの原監督も表情を凍りつかせた。

 実は、古城のチョンボは、帳消しになっていた可能性もゼロではなかった。

 上田の送球が中村の喉を直撃していたのだ。しかし、中村は必死に痛みをこらえながら、素手でボールを掴んで併殺を完成させると、直後、力尽きたようにその場に倒れ込んだ。

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