5月に入り、企業が次々と3月期の「決算短信」を公表しています。決算の要点をまとめたもので、経営状態が気になる投資家たちは真っ先に目を通します。しかし、その情報はどのようにすれば手に入るのでしょうか? そして、どこをどう読めば、何がわかるのでしょうか?『100分でわかる! 決算書「分析」超入門2022』より、一部を抜粋して紹介します。
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決算情報を得る方法は「決算短信」と「有価証券報告書」の2通りがあり、上場している会社なら、どちらもネットで簡単に見られます。まずは決算短信で会社の大まかな経営状況をつかむのが、決算書を読み解くコツです。
◎決算短信(単に「短信」とも)
そのものズバリ決算の要点を短くまとめたもの。年1回の本決算時だけでなく、四半期(3カ月)ごとに公開されるため、会社の経営状態をタイムリーに知れるのがメリット。また冒頭に重要な数字がまとめられているので、わかりやすいのが特徴です。各社のウェブサイトにある「投資家向け(IR)情報」のページから閲覧できるほか、各証券取引所が提供している「適時開示情報閲覧サービス(TDnet)」からも見ることができます。
決算短信は会社の決算がいち早く公開されるもので、投資家は真っ先に目を通します。皆さんも、はじめに決算短信の「サマリー(概要)」欄に目を通すことをお勧めします。
■決算短信のサマリーを読む
この記事の写真をすべて見る表1は、架空の企業である「朝夕電機」のサマリーです。実際の決算短信でも、最初にこのようなサマリーがあり、その年の経営成績、財政状態、キャッシュ・フローなどの要点が1ページでまとめられています。
では、このサマリーから、試しに朝夕電機の業績を分析してみましょう。
まずは(1)連結経営成績の欄をみると、当期は売上高が7.2%アップした一方で、営業利益は11.9%ダウン。そのため営業利益率は、前期から1.9ポイント下がっています。収益性が落ちているように感じられます。
続いて(2)連結財政状態をみると、総資産が前期から4654億円(24.5%)も増える一方、自己資本比率は6.1ポイント低下。つまり負債(他人資本)が大きく増えたことがわかります。