この中日を上回り、歴代最少の失策数(38)かつ歴代最高の守備率(.993)を記録したのが2017年のソフトバンクだ(失策数は1991年の西武と並んでタイ記録)。セカンドは流動的だったもののそれ以外の内野は内川聖一、松田宣浩、今宮健太が固定され、揃って安定したプレーを見せた。外野も柳田悠岐が1年を通じてセンターでプレーし、キャッチャーもこの年から甲斐拓也が不動の正捕手に定着している。控えにも高谷裕亮、明石健志、川島慶三、福田秀平といった守れる選手が多く揃っていたことも大きな強みだった。黄金時代のチームは守備力も高いという代表例と言えるだろう。

 一方今年の楽天は現在のペースで計算すると、シーズン失策数は23となり、歴代最高記録を大きく更新することになる。ただ、これまでのチームと大きく違うのは固定されているポジションが少ないということだ。特に内野はセカンドの浅村栄斗はほぼ固定だが、それ以外は日替わりに近い。ただ裏を返せばそれだけ複数のポジションを守れる選手が多いということであり、鈴木大地、渡辺佳明、小深田大翔、黒川史陽などはあらゆるポジションで先発出場している。状態に合わせて柔軟にポジションを入れ替えながら起用できるというのは、首脳陣にとってもありがたいことだろう。また外野はセンターの辰己涼介が圧倒的な存在感を示しており、西川もレフトへ固定となったことでスローイングの不安材料が軽減されたということも大きいだろう。

 もちろん失策が少なければイコール守備力が高いというわけではない。ただ守備力を総合的に評価するUZRを見ると(DELTA社 1.02 ESSENSE OF BASEBALL)、ほとんどのポジションでリーグ平均を上回っており、ショートの小深田大翔だけがわずかに低い程度にとどまっているのだ。ダントツの数字を残している選手は少なくても、平均以上の守備力を持っている選手が多いというのが今年の楽天の特徴と言える。

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楽天はチームの失策記録の更新なるか