作家・室井佑月氏は、出演被害防止を目的としたAV対策法について、一部フェミニストから挙がっている反対意見に反論する。
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「AV出演被害防止・救済法案」について、どうして一部のフェミニストが反対しているのかがわからない。
5月12日の毎日新聞電子版「AV対策法『性行為に金銭支払うことを合法化』 支援団体の懸念」という記事に、「与野党が検討を進める法案は、▽出演契約を交わしてから20日間が経過しなければ撮影はできない▽無条件に契約解除できる期間は公表から1年間──など被害防止を目的に、制作業者への規則を強化する内容だ。
ただ、言い換えれば規則を守ればAVを事実上合法化するとも捉えられ、それだけに、性搾取に苦しむ人たちを支えてきた支援団体の危機感は大きい」とあった。この記事、「支援団体の危機感」と書いてあるところがミソだわさ。
だって、この法案に反対する人の意見はイチャモンに近い。あるフェミニストは、「リアル性交するAVの合法化・性売買合法化の筋道を作ってしまった」「AV業界に有利な新法」とまでいっていた。
でも、それは間違った認識ではないか? いちばん大切なのは、この法が、誰を守るために作られるものであるのか、ということ。
この新法ができれば、確実に守られる女性は増える。なぜなら、出演を無条件で取り消せるというのが大きい。
確かに取り消せる契約内容として「AV内で性交を行う契約」と書かれているが、それは「性交契約を有効とする」こととは違う。その旨の条文も入っている。
法を作る上で、なにを取り消せるのか例をあげる必要があっただけだ。
この法案のどこをどう読んだら、AV業界に有利といえるんだろうか。反対派はなにを守りたいのか。もうわけがわからない。
出演の強要などがあってはならない、ってことでしょう。この法で肝心なその部分は解決する。それのなにが不味(まず)いのか。