まさか、性交ってわけじゃあるまいな。あたしは一部のフェミニストが、過剰に性を汚いものだと決めつけていることを危惧する。そりゃあ性犯罪は憎い。が、性交はそればかりにつながるわけではない。実際、性交がなければあたしたちは生まれていない。
そして、ほぼ多くの性についての問題は、個人の心の中の問題で、誰かがこうであるべき、これが正しいと語ることではないのではないかと思っている。法の範囲であるなら、人がどう欲求を満たそうが、ほっといてくれという話だろう。
余談であるが、その昔、禁酒法が出来た。それでも酒をのみたい人はいて、その結果、反社の人たちにお金が流れた。人の欲望は、尽きない。そして、それ自体が悪いことではない。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年6月3日号